【作品紹介】
第255回例会 劇団1980
素劇あゝ東京行進曲
<素劇>何もないから高まる想像力
黒い箱と黒い衣装,そして白いロープの不思議な効果
●スタッフ
原作=結城亮一,脚色=藤田傳,演出=関矢幸雄
●キャスト
小川美千代、柴田義之,澤純子,里村孝雄 他
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劇団1980 素劇あゝ東京行進曲   
1993年4月浅草で初演。第1回読売演劇大賞・演出家部門優秀賞を受賞

●素劇(すげき)
美術・衣裳を一切排除し,黒箱と白いロープと人間の体だけですべてを表現する舞台。演出の関矢幸雄氏が創始したもの。観客の想像力によって豪華なセットに勝る豊かなイメージが作り出されることでしょう

●劇団1980
「イチキュウハチマル」と呼びます。その名のとおり1980年に横浜放送映画専門学院を母体に結成。主宰者であり作家・演出家である藤田傳の作品を中心に「日本と日本人」にこだわった作品を上演し続けています。

●佐藤千夜子
ドラマの主役は昭和の時代を代表する歌姫・佐藤千夜子(1897(明治30年)山形県天童市生まれ。1972(昭和47年)71歳で没。本名千代)です。彼女の人生を編年体で綴ったのが今回の作品です。タイトルの「東京行進曲」は,彼女の代表曲です。「昔恋しい銀座の柳〜」で始まるこの曲は,西条八十作詞,中山晋平作曲によるものです。

彼女は通弁士になるといって,山形から上京し,その後歌謡曲の女王となります。その後周囲の反対を押し切ってオペラ歌手を目指します。

●昭和史
佐藤千夜子の人生=昭和史です。一人の女性の人生と同時に昭和史を描いた作品です。2つの世界大戦,ラジオからテレビの時代へと世の中は移って行きます。昭和の時代の中を生きた千夜子の栄光と凋落が描かれます。

●はやり歌・挿入歌の数々
今回の舞台を盛り上げるのが,昭和の各時代を代表する流行歌の数々です。これをア・カペラ,口三味線で歌います。全部で36曲歌われます。千夜子は日本ビクターの歌手でしたので ニッパー犬も登場?

東京行進曲/カチューシャの唄/船頭小唄/ゴンドラの唄/影を慕いて/りんごの歌/ガード下の靴みがき...

●108人の登場人物を15人で
プレトークで金沢に来られた里村孝雄さんをはじめとした15名の俳優さんが登場
します。この15名で何と108名の人物を演じます。

主な登場人物・・・佐藤千夜子,活弁士,中山晋平,松井須磨子,山田耕筰,野口雨情,藤山一郎,古賀政男,淡谷のり子,ティック・ミネ,東海林太郎 他

入れ代わり立ち代り登場します。

■里村孝雄さん(劇団1980)を迎えて
「素劇・あゝ東京行進曲」のプレミアトークの会に例会への期待高まる!

5月13日午後(金沢),夜(野々市)の2会場で「東京行進曲」の魅力をお聞きする会が運営サークルの方を中止にもたれ,40名の方が参加されました。

小咄を二話披露される等わかりやすく,おもしろく,楽しくお芝居・演劇の魅力について大いに語って頂きました。

素劇の”素”は「素うどん」の”素”と同じで,リアルな舞台,美術,衣裳,メーク等を一切排除し,いくつかの黒箱と白いロープ,それに人間の体を様々なものに見立て,観客の想像力をかきたてる舞台であること。当時のはやり歌五十曲余りを出演者のアカペラ・口三味線で歌い,108名の登場人物をわずか15名の出演者で円演じること・・・等々。

「期待しないで」「「気楽に楽しんで欲しい」と逆説的にお話され,参加者の期待を高めて頂きました。

■参加者の感想アンケートから(抜粋)
つなまらなさそうだと思っていましたが,話を聞いてストーリーや舞台を想像してしまいました。里村さんに「期待しないで観て下さい。それが楽しみ方だ」と言われましたが期待いちゃいます。(女・五十代)
 
素劇って何だろうか,想像力かきたてて楽しむ舞台なんですって。演劇の原点が味わえる舞台のようです。箱と紐と人間の機能のみを使って表現する舞台。興味津々。里村氏の話術の巧みさにこの劇団の可能性を見たように思う。(女・六十代)

 ユーモラスなお話を聞きまして素劇の意味もよくわかり期待できそうで公演楽しみです。私たちの年代はよく知っている歌で佐藤千夜子さんの生涯も私共と重なるところもあり,考えさせられます。(女・八十代)

 昔懐かしい歌がいくつ聞かれるか楽しみ。舞台の無が有に変わる?期待したい。(女・六十代)

チャカチャン...の口三味線に載って軽快に進められる,これまでにない新鮮な舞台です。ご期待下さい!
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