この日から、南郷家は、お国詑りをめぐって、大騒ぎになる。 なにしろ、清之輔は、長州出身、妻は薩摩の生まれ、そして妻の父は誇り高き薩摩の隼人健児。そこへもってきて、三人の女中たちは、江戸山の手言葉、下町のべらんめえ、羽前米沢のズーズー弁。おまけに車夫は遠野弁、そして書生は名古屋弁。さらにそこへ、威勢のいいお女郎さんが河内弁で怒鳴り込み、あつかましいお公家さんが京言葉で居候を決め込む。 こうして清之輔は、茜言葉の全国統一を成功させる前に、まず我が家のお国詑りによる大混乱を解決しなければならなくなるが、話はさらにもつれにもつれる。なんと強盗に落ちぶれ果てた会津の士族がのっそりと押し込んできたのだ。 カタコト英語しか喋れないピアニストの奏でる幻の「小学唱歌集」にのせて展開する、言語学的な悲喜劇の末、ついに南郷清之輔が辿り着いた「文明開化語」とは、いったいどんなものだったか。 日本のテレビ史上に燦然と輝く傑作ドラマを、史実かつ大胆に舞台化したこまつ座の代表作。2002年上演の圧倒的大好評におこたえし、ベストキャストでお届けする、疾風怒涛四演目。この機会を、あ見逃しなく! |