「ピーチ・ブロッサムへ:英国貴族軍人が変体仮名で綴る千の恋文」 ■日本人になりたかった男 ある英国軍人が愛する日本人女性に宛てて綴った実際に存在する千通もの千紙。そこから浮かび上がるのは、二十世紀の激動の歴史に翻弄され引き裂かれながらも生き続けた真実の愛、家族の絆の物語です。 日本に憧れ、日本人女性を愛し、自ら日本人になりたかった男。アイルランド貴族であり英国軍人であった男が愛した日本とは何だったのか。彼は日本に何を見ていたのか。そしてそれはもう失われてしまったものなのか。 ■遠過ぎた距離も、永過ぎた時間も、この花を枯らすことは出来なかった 1902年、「憧れの日本」に赴任してきた英国軍人アーサー・シノットは桃花の下に佇む小川まきを見初め、ピーチ・ブロッサムと綽名する。周囲の偏見を乗り越え二人は結ばれるが、アーサーは愛するまきを日本に残し香港、ビルマ、遂には第1次世界大戦の激戦地にまで赴くことになる。 遠く隔てられた二人。この切り離された時問と空間を埋めるようにして交わされた千通にも及ぶ千紙が二人を強く結びつけていた。しかし、2つの大戦によってアーサーとまき、そして、二人の間に生まれた息子・清の人生は大きく狂わされていく。 日本人となり家族とともに幕すことを願って止まなかった男、彼が思い描いたものは遠い夢だったのか。 ■会員手帳から 「憧れの日本」に赴任してきた英国軍人アーサーは,桃花の下にたたずむ小川まきを見初めてピーチブロッサムとあだ名した。周囲の偏見を乗り越え結ばれるが,戦争が二人を遠く隔ててしまう。その間を千通もの手紙が交わされ二人の愛を結びつけた。引き裂かれながらも生き続けた愛,家族の絆の物語。 |