【作品紹介】
第265回例会 幹の会+リリック・プロデュース公演
オセロー Othello
魂揺さぶるフラメンコの響き
今暴き出される愛の不毛
●スタッフ
作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:小田島雄志
演出:平幹二朗

●キャスト


平幹二朗,三田和代,平岳大 他

公演ちらしから

『オセロー』はシェイクスピアの四大悲劇の中で最も完成度が高いと言われている作品です。亡霊や魔女を登場させることなく、嫉妬や猜疑心といった人間感情の弱さから生まれる悲劇を描いた現代にも通じる物語です。

オセローを演じる平幹二朗は1973年(ジョン・デヴィツト演出)、1995年(栗山民也演出)に続く三回目の挑戦、今回は自ら演出にもあたります。「シェイクスピア作品、特に四大悲劇は多面的に人物が描かれているので、いろいろな面を掘り下げることが要求される。再演を重ねながら、その人物を掘り起こしたい」と語る平幹二朗。オセロー役のみならず、演出家として登場人物ひとりひとりをどう創り上げていくか、注目が集まります。

貞淑な妻デズデモーナには実力派女優、三田和代。透明感のある演技はまさに絶妙のキャスティングと言えるでしょう。忠実そのものに見える若者の裏面に巣喰うゆがみと悪意の表現を要求されるイアーゴーには、平岳大が挑戦します。そして多彩で充実した演技陣が舞台に活気を加えます。

ムーア人オセローを破滅へと導くスペイン名の男イアーゴー。かつて「動機なき動機」と評されたその行動は、激しく踏み鳴らされるフラメンコの足抽子から幕が開いてゆきます。平幹二朗演出の『オセロー』にご期待ください。

■あらすじ
夜のヴェニス。ムーア人の将軍オセローは、父の目を忍んでやってきた元老院議員の娘デズデモーナを妻に迎え入れる。身分も肌の色も、あらゆる障害を乗り越えて緒ばれた二人。父ブラバンショーの祝福こそ得られなかったものの、オセローとデズデモーナの愛は揺るぎなく、幸福な一組の夫婦が誕生したと思われたのだが。

同じ夜の暗闇の中で、オセローの旗手イアーゴーは副官の地位をキャシオーに奪われたことに不満を募らせていた。デズデモーナに横恋慕するヴェニスの紳士ロダリーゴーを狡滑に操り、策略を巡らせる。折しもヴェニス公爵の元へ、領海の島が敵艦隊襲来の危機にさらされているとの報せが入った。オセローはヴェニス軍を指揮し、上陸を果たす。勝利に沸き上がるオセローとデズデモーナの結婚を祝う夜会の後、忠実なイアーゴーが動き出す。緑色の目をした怪物嫉妬がその心に注がれた時、「愚かにではあるがあまりにも深く愛した勇」
オセローは―。


inserted by FC2 system