金沢市民劇場で1994年に観た作品のまとめ
金沢市民劇場賞アンケートの原稿から

●奇妙な果実
地人会(市民劇場186);94/02/05;金沢市観光会館
木村光一演出・台本
前田美波里/金内喜久夫/森田育代/下馬二五三/板倉加代子

貴乃花も肩幅が広いが前田美波里さんも肩幅が広かった。この人の姿しか印象に残っていない。黒人の歌を日本語で聞くと,言葉が音楽に載らず違和感を感じた。後半は歌が中心で劇としては今一つ。

●がめつい奴
蝉の会(市民劇場187);94/03/26;金沢市文化ホール
菊田一夫作/渡辺浩子演出
渡辺美佐子/ラサール石井/三田和代/犬塚弘/流山児洋/里村孝雄/はにべあゆみ/清水ゆき/後藤加代

有名俳優がたくさん出ていて見応えがあった。が,最初の方は人が多くごちゃごちゃとしていて話が分かりにくかった。舞台も雑然としていて最後までごちゃごちゃした気分だった。面白いことは面白かったがなんとなく時代が違うな,という印象を持った。

●荷車の歌
文化座(市民劇場199);94/06/01;金沢市文化ホール
山代巴原作/寺島アキ子/鈴木光枝演出
佐々木愛/楠高宣/遠藤慎子/阿部敦子/小林真喜子/菊池有利子/津田二朗/阪井康人/大井川象子/山本薫/伊藤てるみ/安藤美和子/高村尚枝

今年は暗いのが続くと見る前はややうんざり気味だった。が,はまって浸ってしまえば大感動。女の一代記というのはまさにNHK朝の連続テレビ小説の世界。それを3時間に圧縮していたので見応えがあった。嫁姑孫という身近な話題だったので印象も強かった。戦争の話が出てきてテーマがぼけた気がした。

●女房という他人
劇団NLT(市民劇場189);94/07/31;金沢市文化ホール
ジェームス三木作・演出
汀夏子/川端慎二/木村有里

見た瞬間瞬間は面白かったが後から思い出せないような作品。夫婦が入れ替わるのかと思ったがそう安易にいかないところが良かった。可もなく不可もないという言葉がふさわしい作品。

●花石榴
文学座(市民劇場190);94/09/09;金沢市文化ホール
松田章一作/鵜山仁演出 北村和夫/平淑恵/山崎美貴

近年最大の失敗作。脚本の古くささがその原因。難しいセリフを言っているが実は内容がない。内容がなかったので金沢弁も「いじっかし」かった。

●枯れすすき:野口雨情抄伝
九プロダクション(市民劇場191);94/11/12;野々市文化会館■
新藤兼人作;神山征二郎演出
篠田三郎/林美智子/日色ともゑ

タイトルからすると「また暗い作品か」という感じだったが予想に反して,前半はテンポ良く,コメディ・タッチで流れた。途中で林美智子さんと日色ともゑさんが出てきて話に奥行きが出てきて話が面白くなり引き込まれた。特に林さんの演技は良かった。ただ,暗転がやけに多く落ち着かなかった。日色さんの暗転時の狂言回し的な登場も始めのうちは良かったがだんだんしつこく感じるようになった。劇の終結部も説明的で興をそいだ。「その後雨情は子どもが七人できて大変活躍した...」という説明の替わりに「七つの子」で締めればそれで済むのではないだろうか。私は,この場面でこの曲を聞いた瞬間,なんともいえない「うっ」と来る感動を味わったのでその後の場面がすべて余分に思えた。全般に林さんの出ている場面がやけに充実していたような印象。とはいえ,篠田さんもイメージ通りの良い印象で劇全体としても感じのよいものだった。 inserted by FC2 system